病棟勤務の看護師は、交替勤務を行うのが通常です。病院には入院している患者がいるので、病院は24時間365日休むことなく活動しています。
施設によって勤務時間に違いはありますが、2交替の場合は、おおよそ8時〜17時ごろの勤務となり、16時30分から翌朝9時ごろまでが夜勤となります。
夜勤が終了した日を「明け」と呼び、2交替勤務を行っていれば、明けの日は翌日の朝まで勤務はありません。
3交替の場合は8時〜17時が日勤、16時30分〜0時までが準夜勤、23時30分〜翌朝9時が深夜勤という勤務時間になります。3交替制を行っている場合は、深夜勤と日勤が続くことはありませんので、深夜勤が終了した日を「明け」と呼びます。
2交替勤務であれば、それほど複雑ではありませんが、3交替勤務は、看護師の勤務表は非常に複雑になります。よって、看護師の希望を100%活かした勤務表を作成することは困難となります。しかし最近は休み希望を○日までと決め、管理職に事前に提出することで、その希望を取り入れた上での勤務表を作成してくれる施設もあるので、複雑な勤務表を毎月苦心して作成してくれる管理職はとてもありがたい存在です。
勤務中には予定通りの業務だけでなく、患者さんの急変への対応や、ナースコールの対応など、随時発生する業務もあります。また、看護師の役割の大切な部分として、患者さんとのコミュニケーションを図るということがあります。特に入院中は、検査や手術への不安を抱えている患者さんも少なくありません。そうした患者さんの訴えに耳を傾け、話を聞くことを「傾聴する」といいます。
看護師同士で患者さんのカンファレンスを開催したり、チーム医療の一環として患者さんについて治療方針の確認や意見交換を他職種と行う時間が設けられることがあります。このようなカンファレンスでは、自分の受持ち患者さんについての情報を看護師としての視点で十分に収集し、発言することが大切です。自ら得た情報は、チーム全体で共有することで患者さんにとって最善の治療方針を決定する一助となるからです。
時として看護師は、患者さんの意見をチーム全体に伝えることがありもあります。医師の前ではいえなかった患者さんの希望を、看護師が代弁することも少なからずあるでしょう。1日のうちに行った看護業務をカルテに記入し、次の勤務帯の看護師に申し送りを行い、その日の業務は終了となります。
病棟で働く看護師にとって夜勤は避けられません。交代して担当するので、日勤だけの日もあれば夜勤の日もあります。現在、病棟で最も一般的な勤務形態は、1日を日勤、準夜勤、深夜勤の3つの時間帯に分けて業務をリレーしていく「3交代制」で、全体の60%を占めています。
病院によって違いはあるものの、日勤は8:00〜16:30、準夜勤は16:00〜0:30、深夜勤は0:00〜8:30といった具合で、同じ病棟やチームの看護師で交代に担当していきます。それぞれの時間帯で重複時間があるのは、患者さんの状況などを次の担当に申し送りをするための時間です。
3交代制の次に多いのが、1日を日勤と夜勤の2つに分ける「2交代制」で、近年はこのスタイルを採用する病院が増えてきています。当然、3交代制よりも勤務時間が長く、場合によっては16時間勤務になることもあり、看護師の負担は大きくなりますが、担当看護師が1日で3回変わる3交代制よりも患者さんにとっては安心感がありますし、看護師からも「仕事とプライベートの両立がしやすい」という声もあるため、一概にどちらが良いとはいえません。
勤務形態はこれら以外にも、日勤時間帯を延長してその分や筋を短くしたり、多忙な時間帯に多くの看護師を集中的に配置するといった「変則交代制」などに取り組む病院もあります。また、育児中でフルタイム働けない看護師でも正職員に準じた待遇で働ける「短時間正職員制度」、長期にわたる「短時間勤務制度」、「パートタイム契約」を導入するなど各病院が工夫を行っています。
看護師の勤務予定は、1ヶ月ごとや1週間ごとに組み立てられます。上記の3交代制を例に挙げると、日勤→深夜勤→準夜勤→休日→日勤→日勤→準夜勤…以下、繰り返しというように休日をはさみながらローテーションを組んでいきます。
現在よりも看護師不足が深刻だった頃に比べると、看護師の1月あたりの平均夜勤回数はやや減少しており、日本看護協会の調査(2018年)によると月平均は2交代制で4.12回、3交代制で7.62回となっています。
日勤に比べて夜勤帯は看護師の数が少なくなり、中には1つの病棟に看護師が1人しか配置していない病院もあります(通常は1病棟に2〜3人)。夜勤帯は患者さんの睡眠時間帯ですので、何事もなければ静かに時間が過ぎますが、ナースコールが鳴り続け休憩もままならないというケースもあります。