腎臓は全身を循環している血液から老廃物や毒素などを濾過し、尿として排出することで、体液を常に正常な状態に保っています。
その腎臓に機能不全が起こると、身体の代謝に支障をきたし、血液をきれいにすることができなくなってしまいます。
腎臓が機能が著しく低下しなくなった患者は、24時間老廃物を尿に排泄する腎臓の変わりに、器械によって体に溜まった老廃物や水分を除去する「透析療法」を受ける必要があります。
日本透析医学会のデータによると、日本国内で慢性透析療法を受けている患者さんの数は年々増加しており、現在は約30万人の方が治療を受けています。透析療法を受けている患者の平均年齢は66.2歳で10年前と比較すると5.0歳も上昇しています。これは老年病である高血圧症や糖尿病に伴って慢性腎不全となる高齢者が増加しているためです。
透析は一般的に週3回(1回あたり3〜4時間)の治療を生涯にわたって続ける必要があります。透析を中断すると重篤な症状が出るため、患者さんの心身への負担は相当なものとなります。
透析の病院・クリニックで働く看護師は、患者さんが安全に透析を受けられるように、器械(コンソール)の操作や穿刺、バイタルチェック、健康管理・指導などを行います。
透析看護のやりがいとしては、@機械操作や穿刺などの専門的なスキルが身につくこと、A日常生活で様々な制約を受ける患者さんの生活指導やアドバイスを通じてコミュニケーションスキルを磨けること、B患者さんの合併症を早期発見し、治療することが大切になるため、勉強の成果が看護に直結しやすい、C他の診療科に比べて患者さんの来院頻度が高いので、信頼関係を築くことができる…などが挙げられます。
透析看護が未経験の方は、機器の操作・穿刺などのスキルが心配かもしれませんが、入職後半年間はプリセプターがついたり、勉強会が頻繁に行われるなど「透析未経験OK」あるいは「ブランクのある看護師さん歓迎」の病院・医療機関も多くあります。実際に透析未経験から転職された方からは「機器の操作・穿刺・バイタルチェックなどは一度習得すればルーチン化できるので、思ったほど難しくなかった。」という声をよくききます。
透析看護の仕事は、一般的な「日勤」に加えて、仕事を終えた患者さんが来院できるように準夜勤(遅番)が求められる施設が多いのが特徴です。そのため、一般のクリニックでの勤務のように18時や19時ではなく、遅番のシフト終了時間がが21時というところもあります。
それでも病棟勤務のような深夜勤はなく、日曜日は休日となりますので、育児や体力的な問題で夜勤ができない方からの転職組が多い診療科となっています。また基本給に加えて資格手当などの各種手当が充実しているため、夜勤がない割には給与が高い点も魅力です。透析の病院・クリニックは来院頻度が高い患者の交通の便を考慮して、駅前に多いため、通勤する際の交通アクセスが便利なところが多いというのも大きなメリットでしょう。